石澤敦のメディカルインフォ

認知症総論(1)

認知機能とは

認知機能とは、自分の置かれた環境を認識し、その環境下で求められる課題を理解・検討・推測し、正しい解決策を実行する大脳の機能で、成長に伴い順次獲得される後天性の機能である。

大脳の機能とは

記憶

  • 記銘、保持、想起(ヒントなしで思い出す)、再認(ヒントで思い出す)

注意

  • 記憶の容量には限界があり、全ての課題を同時に解決すことは不可能なため、優先度の高い課題に意識を集中させ、状況の変化に応じて意識の集中を他の課題に移動させる、一連の過程。

言語

  • いま入力された情報を理解し、記憶されている内容から相応しいものを選択し、課題に応じた内容を意識野にアップする機能。

認知症とは、

  • ① これらの認知機能が何らかの疾患が原因で進行性に障害され、そのために社会生活を維持することが困難になった状態のことであり、いわゆる「病名」ではない。そして、その病態の本質・中核をなすのが「記憶の障害」である。
    「認知症」はそれ自体病名ではなく、それぞれの原因疾患を冠して疾患名を表記する。
    〇〇型認知症、××性認知症・・・など。
  • ② 健常者でも老化に伴い神経細胞は減少するため認知機能は低下するが、老化現象は病的
    過程ではない。この場合は、認知障害ではなく認知機能低下と称する。
    (かかりつけ医のための「攻める」認知症ガイド:日本医事新報社:改変)

“記憶する”とは? 記憶の三つ過程

・外部からの情報を取り入れ(獲得・記銘)、
・それ等を様々な形で保存し(固定・保持)、
・必要に応じてそれらの情報を再び呼び起こす(再生)
⇒“過去に記憶した事柄を思い出す”

うつ病と認知症(アルツハイマー型)との臨床的鑑別点
うつ病チェック表(簡単な)

認知症の症状

認知症の症状には、その病態の本質をなす認知機能障害(“もの忘れ”の症状)と、多くは、 病状の進行に伴って生じる様々な問題症状(行動)がある。
前者を、認知症の「中核症状」、後者を「行動・心理症状(BPSD)」と称する。
BPSD:Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia

(1)認知症の中核症状
  • ・中核症状とは、すべての認知症に見られる基本的症状で認知機能障害のことを指す。
  • ・①記憶障害、②見当識障害、③遂行機能障害、④注意障害、⑤失語、⑥失行、⑦失認など。
(2)認知症の行動・心理症状(BPSD):(旧・周辺症状)

Behavioral and Psychological Symptom of Dementia

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